宋 玉璽 SONG, Yuxi

名古屋大学大学院
工学研究科 マイクロ・ナノ機械理工学専攻
宋 玉璽
SONG, Yuxi
《 Investigator 》
履修生へのインタビュー

Interview


研究紹介

学部時代には、宇宙船のメカニズムにおけるベアリングの潤滑に関連した研究をする機会がありました。その時にトライボロジー(2つの物体が互いに滑り合うような相対運動を行った場合の相互作用を及ぼしあう接触面、および関連する問題についての科学技術)に惹かれ、中国の大学を卒業後、日本での研究を続けることにしました。

地球環境と調和した持続可能な社会を実現するために、自動車をはじめとした機械システムには省エネルギー化や環境負荷低減が強く求められています。そんな現代では、エネルギーの摩擦損失を極限まで低減できる潤滑技術の確立は非常に重要なテーマです。自動車をはじめとした機械システムの省エネルギー化や環境負荷低減に向け、潤滑油添加剤が重要な役割を果たすものの、作用機構は計測が困難なため、十分に解明されていません。

その中で、高分子添加剤が形成する吸着膜は、トライボロジーの分野では摩擦や摩耗の低減に重要な役割を果たしています。さらに、その摩擦低減メカニズムの詳細や吸着膜の構造については、まだ不明な点も多いため、私の研究では、その場で測定できる装置を開発することを目指しています。これにより、ナノサイズの隙間の吸着膜の形成過程、および光学特性、粘弾性特性、摩擦特性を明らかにしました。

私が開発した測定装置は、市販の顕微鏡を改造したオリジナルです。そのため、自分で問題を解決していかないと研究が進みません。本研究では、5nm以下の吸着膜の厚さを1nm以下の精度で測定するために、ドリフトを含むノイズレベルが 0.1nmのオーダーで要求されます。そのため、研究開始当初は、数nmのドリフトと再現性の悪さが課題となり、困難を極めました。
ただ、様々な改造や工夫をしながら、3ヶ月の試行錯誤の末、0.2nmの測定精度を達成しました。吸着膜の厚みを測定することに成功した時は、非常に嬉しかったです。

DII協働プロジェクト プロジェクト名

レンズのない監視カメラ

IotやARデバイスの発達に伴い、カメラの小型化のニーズが高まっています。しかし、レンズの物理的な問題から、従来の光学系では小型化することが困難でした。そこで、私たちは、レンズのないカメラを開発し、カメラの薄型化・小型化を図ります。そうすることで、ARグラスや内視鏡に組み込むことができます。

開発には高度なコーディングやプログラミングのスキルが必要です。一方、私たちはコンピュータサイエンスや情報工学を専攻しているわけではありません。0からスキルを身につけるしかありません。そのため、学ぶべきことも多くあり、簡単ではありません。

ただ、チームのメンバーの存在が支えになってくれます。一緒に学びながら成長できるメンバーですし、彼らとのディスカッションは、いつも新しい気付きをもたらしてくれます。

ターニングポイント

Turning Point


日本に来てから、私の視野は広がりました。日本で非常に面白い研究ができたので、将来は研究者になりたいと思うようになりました。

趣味

Interests


写真、絵を描く