李 雨晴 LI, Yuqing
名古屋大学大学院
工学研究科 物質プロセス工学専攻
李 雨晴
LI, Yuqing
《 Innovator 》
履修生へのインタビュー
研究紹介
近年、薄型結晶シリコンは、低コストと優れた機械的柔軟性により広く注目されています。柔軟性を付与することで、さまざまなモバイルおよびフレキシブルデバイスに応用でき、太陽電池の新たな市場を拓く可能性があります。
フレキシブルな多接合太陽電池は、移動体への新規応用に理想的な候補であり、クリーンエネルギーとして広く利用されることが期待されていますが、薄型結晶シリコンは光の吸収が十分に得られないという課題があり、太陽電池の性能を向上させるためには、シリコン表面に光を閉じ込める構造の精密な設計が非常に重要です。
従来のマイクロピラミッド構造は、シリコン太陽電池の光閉じ込め構造に応用されていますが、サイズが大きいため、キャリア再結合中心の導入や、入射光角度に依存した不均一な光吸収率に問題があり、太陽電池の効率の向上、そして極薄シリコンデバイスへの応用が制限されています。
本研究では、真空装置が不要で銀を用いた新規溶液プロセスからナノスケールのシリコンテクスチャが作製できます。更にDNAを用いて配列したナノ金/銀粒子を化学エッチング法と組み合わせることで、制御性に優れたシリコンナノ構造形成技術の開発を行っています。これにより、従来のシリコンマイクロピラミッド構造とシリコンワイヤ構造に比べて、優れたパッシベーション性能と均一的な低い反射率を同時に実現できます。
この技術は、高品質ヘテロ界面形成により高い効率の超薄型シリコンヘテロ太陽電池や、ペロブスカイト多接合太陽電池や、様々な超薄型シリコンデバイスへの応用展開が期待できます。
この研究では、自分で課題を見つけ、新規エッチングプロセスの最適条件を探索することは辛かったですが、一方で、ようやく最適条件を見つけて、きれいなナノサイズのシリコンピラミッド構造が作成した時は非常に嬉しかったです。
DII協働プロジェクト プロジェクト名
認知症のある高齢者向けのモニタリングインソール
高齢化が日々深刻な課題となっています。中でも、認知症で苦しむ高齢者の方が多くいらっしゃいますが、社会的関心はまだまだ低いのが現状です。私たちはリアルタイムに居場所がわかるモニタリングインソールを開発することによって、認知症患者を家族に抱える方や介護スタッフのストレスを軽減したいと考えました。
より最適な商品を設計するため、介護商品の販売店を調査したり、認知症のある高齢者にインタビューを実施しました。現在は、GPSモジュールの開発を進行中です。回路の設計やプログラミングは非常に難しかったですが、認知症患者のご家族とお話できたことでご家族のニーズやペインに寄り添いながら開発を進められたことは非常に嬉しく思っています。これらの経験を通して以前では気がつかなかったような視点をたくさん得ることができました。
細部を見落としがちな傾向があるのですが、DII協働プロジェクトでは、チームメンバーと協力し、なんども話し合いを重ねることで、それらのリスクを軽減することができました。また、製品開発の具体的なプロセスを学び、市場ニーズの調査、事業計画、財務計画などの重要性を学ぶこともできました。
受賞歴
2019.11.2 National University of Singapore and Nagoya University Joint Seminar
Poster Award
ターニングポイント
日本に留学したことです。長期間、海外に住み、学ぶことは初めての体験でしたが、ここで出会った、ライフスタイルも文化も異なる、様々な国から来た学生との交流は非常に刺激的でした。こうして博士課程まで素晴らしい研究環境の中で、経済的にも安心して学べる環境を提供してくれた名古屋大学には感謝しています。
趣味
Interests
旅行が好きです。日々の疲れを癒してくれます。また美味しいものを食べる時はとっても幸せです。さらにウクレレやスケート、ペットのハムスターも癒しです。最近では、「And the Mountains Echoed」を読んでいます。